「速読」とは、読む速さではなく“読む構造”の設計である。

東大英語と日比谷英語、その読み方の本質的ちがい

保護者の皆さまへ:なぜ、同じ「英語長文」でも別世界なのか?

お子さまが取り組む英語の入試問題――。

見た目は似ていても、その中で問われている“読む力”はまったく違います。

たとえば「日比谷英語」と「東大英語」。

どちらも長文読解ですが、求められるのは「読むスピード」ではなく、“読む意味構造の設計力”です。

私たちの塾では、単なる演習ではなく、この「読解構造の違い」を見抜いたトレーニング設計を行っています。

 

①日比谷英語:論理の一本道を、速く正確に歩けるか

日比谷高校で出題される英語長文は、

  • 「段落ごとに主張が明示され」
  • 「接続語が機能通りに働き」
  • 「設問と本文が1対1対応しやすい」

という意味で、「論理が一本道の文章」です。

読者は、文章という道を、

  • 接続語(however / for example / so)を「標識」とし、
  • 指示語(this / such / these)を「照明」として、
  • 主語・述語の流れをつかみながら「論の筋道」をたどっていきます。

必要なのは、「正しい順序で読むこと」と「見逃さないこと」。

だからこそ、当塾ではこうしたトレーニングを設計します:

トレーニング目的
段落要点要約情報の圧縮と比較
接続詞フロー演習論理の流れを“追う”力の強化
読解ルート設計設問の種類から「読む順番」を決定する訓練

目的:情報の“整理力”と“優先順位判断”の速さを育てる

 

②東大英語:構造がねじれた迷路を、再設計して抜けるか

一方、東京大学の英語長文は、「構造が歪んだ文章」です。

  • 筆者の意見が文中に“にじんで”いて、断定されない
  • 論点が複数に分かれ、視点が途中で変わる
  • 結論が明示されないか、逆説的に語られる

つまり、東大英語は読む前に“設計図”がない家を読むようなものです。

読者は、文章を読みながら、

  • 段落の役割を見抜き(導入?譲歩?仮説?)
  • 筆者の視点の変化を追い
  • 最後に「この文の構造はこうだった」と自ら再構築する必要があります。

だから私たちは、こう指導します:

トレーニング目的
段落機能ラベリング文章の役割構造(導入/反論/提案)を意識
設問逆照射演習設問が問う視点から本文を“逆に読む”習慣づけ
要約構造化演習構造変換・抽象化・因果連鎖の可視化訓練

目的:構造を崩し、問いのかたちに合わせて“組み直す力”を育てる

比較まとめ:「速読」という言葉の中身が真逆です

比較項目日比谷英語東大英語
読解スタイル論理を追う一本道型構造を読み替える迷路型
読解の順序設問→本文照合型本文→構造理解→設問再構成型
主な訓練情報抽出・論理接続・段落要約構造分解・視点転換・再構築型要約
読まない技術必要な情報を素早く拾う選別読み本文の構造に基づいて読む場所を選ぶ選択読み

 

教室の方針:読む技術は「速さ」ではなく「構造」で決まる

「速く読めたら解ける」――そう思われがちですが、

本当に大切なのは、“何のために速く読むのか”という設計です。

日比谷英語で必要なのは、

「論理の地図を素早く読み取り、正確にたどる」スキル

東大英語で問われるのは、

「見えない構造を読み取り、設問に応じて論の形を変えられる」力

この違いを読み解いた上で、

当塾では**「読むスピードではなく、“読む構造”を教える」こと**に力を注いでいます。

 

最後に:今の読み方は、未来の選択肢につながっているか?

中学生のときに培った読み方が、そのまま高校入試、大学入試、そして社会における情報処理力へとつながっていきます。

だからこそ、私たちは“今の読解”を大切に育てています。

「読むとは、速くなることではなく、深くなることである」

――それが、私たちの英語指導の出発点です。

 

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