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入試という場面では、ただ知識を持っているだけでは、本当の得点力にはつながりません。特に都立高校の共通入試問題においては、「設問をどう読むか」という受け取り方の質が、結果を大きく左右します。これは決して難解な国語力を求めているということではなく、「どこに目を向けて、どう受け止めるか」という姿勢の問題です。そしてこの“読み方の姿勢”こそが、すべての教科に共通する土台となるのです。
たとえば、「この設問は何を聞いているのか」「どこまでを答えに含めるべきなのか」といった問いに、子どもがどのように向き合っているかを見ると、その思考の癖が見えてきます。共通問題では、複雑な文章や突飛な問いが出されるわけではありませんが、設問は非常に精緻に設計されています。だからこそ、表面をすくうだけの“読み流し”では、得点にはつながらないのです。誤答の原因の多くは、知識の不足ではなく、「読み違え」でもなく、実は「読み流し」なのだという事実は、見逃されがちです。
私たちは、この“読み流し”を改善するために、「設問とどのように向き合うか」を日々の演習の中で整えていきます。たとえば、「60字以内で述べなさい」という問いに対して、ただ文字数を合わせるのではなく、「なぜ60字なのか」「制限内でどこまで深く書けるか」を考える視点を育てます。あるいは「あなたの考えを述べよ」という設問に対して、「感想」ではなく、「根拠をもとにした自分の立場」を書けるようになるまで、設問との対話を大切にします。
このような取り組みは、見た目には地味かもしれません。しかし実際には、こうした読みの精度こそが、「問題に気づける目」を育て、「ミスを防ぐ力」へとつながっていきます。すべての教科で問われる“問いとの向き合い方”を丁寧に整えること。それが、成績の安定を生み、得点を確実に重ねていく力になります。
「ケアレスミスが多い」「何となく読んでしまっている」といった悩みの奥に、こうした“読みの姿勢”の問題があることに気づくことで、今まで見えなかった学びの改善点が浮かび上がってきます。そしてこれは、単なるテスト対策にとどまらず、子どもが日常の中で「何をどう受け取るか」という力そのものを鍛えることにもつながります。
入試問題は、ただ解くものではなく、「どう読み、どう受け取るか」の訓練の場でもあります。だからこそ、この段階で大切にしたいのは、情報をどう処理するか以前に、情報にどう向き合うかという態度そのものです。正解にたどり着く前の一瞬の“姿勢”にこそ、学びの質が現れる。それを見つめる目を、私たちは丁寧に育てていきます。

 

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