“I’ll get my harmonica and play for you.” Granddad said. “I’ll play some of the old songs.” But instead of the harmonica, he brought out the blanket. It was a big double blanket. “Now it’s a fine blanket, isn’t it?” said the old man. “And your father is a kind man to give me a nice blanket like this to go away with. There will be no other blanket like it up there.”
「祖父は、孫のために、ハーモニカで古い歌を歌おうといったにもかかわらず、ブランケットを持ってきました。」とても易しい、中1生でも訳せるくらいの簡単な文章です。しかし、ストーリーにすると、脳の中を完全に破壊してきます。なぜか?
例えば、「ハーモニカで歌を歌おうといったにもかかわらず、バイオリンで曲を奏でた」というように、連想されやすい言葉でもって、話が進むなら、「解答者はとてもたやすく問題を解いていける」のですが、なぜか「祖父はブランケットを持ってきた」という英文になっています。ハーモニカからブランケット、まったく繋がりがありません。
筑駒は、つながりのない言葉を次々と繰り出し、そして伏線を張っていきます。なおかつ、それぞれの言葉はとても単調で、もっと言うなら易しすぎる言葉を並べてきます。しかし、その単調な言葉が構成された瞬間に、解答者に解答を連想させない問題を作り上げます。まさに作題者の教養レベルがにじみ出てきます。
そしてそのブランケットは「二人用の大きさのブランケット」でした。この二人用というところに、問題文のストーリーの伏線が張られます。
さりげない言葉は、伏線として、のちに「大きな仕掛け」となって解答者を驚かせていきます。
鋭利に解答者の胸をえぐって来る文章です。