2021年度筑波大学附属駒場高校 英語2⃣解説(2)

“I’ll get my harmonica and play for you.”  Granddad said.  “I’ll play some of the old songs.”  But instead of the harmonica, he brought out the blanket.  It was a big double blanket.  “Now it’s a fine blanket, isn’t it?” said the old man.  “And your father is a kind man to give me a nice blanket like this to go away with.  There will be no other blanket like it up there.”

「祖父は、孫のために、ハーモニカで古い歌を歌おうといったにもかかわらず、ブランケットを持ってきました。」とても易しい、中1生でも訳せるくらいの簡単な文章です。しかし、ストーリーにすると、脳の中を完全に破壊してきます。なぜか?

例えば、「ハーモニカで歌を歌おうといったにもかかわらず、バイオリンで曲を奏でた」というように、連想されやすい言葉でもって、話が進むなら、「解答者はとてもたやすく問題を解いていける」のですが、なぜか「祖父はブランケットを持ってきた」という英文になっています。ハーモニカからブランケット、まったく繋がりがありません。

筑駒は、つながりのない言葉を次々と繰り出し、そして伏線を張っていきます。なおかつ、それぞれの言葉はとても単調で、もっと言うなら易しすぎる言葉を並べてきます。しかし、その単調な言葉が構成された瞬間に、解答者に解答を連想させない問題を作り上げます。まさに作題者の教養レベルがにじみ出てきます。

そしてそのブランケットは「二人用の大きさのブランケット」でした。この二人用というところに、問題文のストーリーの伏線が張られます。

さりげない言葉は、伏線として、のちに「大きな仕掛け」となって解答者を驚かせていきます。

鋭利に解答者の胸をえぐって来る文章です。