読み解く力の育て方

授業で「わかった」と言っていたのに、いざテストになると手が止まる。そんな場面を目にして、「どうして?」と感じたことのある保護者の方は多いかもしれません。けれどその「わかった」は、本当に“動かせる知識”だったのでしょうか。子どもたちが使おうとする瞬間に止まってしまうのは、知識が不足しているからではなく、「わかったつもり」のまま立ち止まってしまっているからかもしれません。
私たちは、個別指導の中でまず、「それって、どうやって説明するの?」と静かに問い直します。暗記や丸暗記ではなく、自分の言葉で説明してみる。どうしてその答えになるのか、他の選択肢とどう違うのか。そうしたやりとりの中で、「なんとなく覚えていたこと」が、「きちんと扱える知識」へと変わっていきます。これは、ただ解き方を覚えることとは違い、自分の中に一段深く“落とし込む”時間です。
特に小中学生にとっては、「なんとなくで進んでしまった範囲」や「理解が浅いまま覚えた内容」が、あとになって響いてくることがよくあります。それは、苦手やつまずきの芽となって、思わぬタイミングで表に出てきます。私たちは、それを未然に防ぐためにも、学びの中の“すき間”を見つける力を大切にしています。誰かに指摘されるのではなく、自分自身が「あ、ここがまだうろ覚えだな」と気づけるように導いていくのです。
このような丁寧な確認は、集団授業の中ではなかなか時間を取れません。個別指導では、子どもの言葉の迷いや、理解の止まり方そのものが、貴重な教材になります。たとえば、正解した問題でも、「どうやって考えたの?」と問いかけてみる。すると、本人も気づいていなかった“あいまいな理解”が浮かび上がってくることがあります。私たちはその瞬間を大切にし、もう一度、基礎の確認や問題の組み替えを通して、「確かにできる」という感覚へとつなげていきます。
保護者の方にとっても、「たくさん練習しているのに結果が出ない」と感じるとき、子どもの努力をどう支えてよいか悩むことがあると思います。私たちは、その努力の方向が間違っているとは思いません。ただ、その努力が“答えを出すこと”だけに向いてしまっている場合、本番での確信にはつながりにくいのです。反復よりも、「わかっていることを、自分の中でどう動かせるか」を確かめること。それが、試験という一度きりの場面で力を発揮するために欠かせない練習なのです。
個別指導は、たくさん教える場ではありません。一つひとつの理解を、“できる”という実感に変えていく場です。急がず、焦らず、でも確かに深まっていく学びの時間。その小さな積み重ねが、やがて子どもにとって、「これなら自分でいける」という手ごたえになります。知識を与えるのではなく、知識を使う感覚を渡すこと。それが、私たちの個別の中核にある思いです。

 

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