It was a fine September night. A white moon was coming up over the mountains. Peter, eleven years old, was looking at a red and black blanket on the kitchen table.
The blanket was a gift from his Dad to his Granddad… a going-away gift. They said that Granddad was going away.
2021年筑波大学附属駒場の英語2⃣第1節の文章です。
日比谷高校にせよ、国立高校にせよ、西高校にせよ、英文のストーリーはそれほど難解ではありません。
傲慢に言えば、第1節を見たとき、最後の結論が見えてしまうこともあります。
しかし、筑駒の英語は第1節を見たとき、最終結論がなかなか見えにくい。このあたりにこの筑駒の名門校としてのプライドがあるのかもしれません。
当然、国立(こくりつ)高校なので文科省のカリキュラムを逸脱した問題文を作ることはできません。
平易な文章や単語を駆使しながら、決して「解答者に想像だけでは問題を解かせない、本物の入試問題」がそこにあります。
「かかって来いよ」と作題者はいつでも解答者に対し、少し上目線で言っているのかもしれません。
しかし、解答者も入試問題を見ることによって、「作題者の教養や学力を見抜けること」に、作題者は気づかないといけないかもしれません。
そのあたりの綱渡りが、たまらない刺激です。
この第1節にあたっての解答者にストレスのかかる単語をピックアップします。
September
A white moon
Peter eleven years old
Blanket
Dad
Granddad
A going-away gift
September 寒い入試の2月にもかかわらず9月の季節を出だしにしていること。
A white moon 「白い月」という語彙
Eleven years 高校入試は15歳にもかかわらず、11歳という主人公を出題したこと
Blanket 「9月や白い月」という言葉を使って、情趣的なイメージを付けさせているにもかかわらず、突然Blanket という物質が出題されることによって、滑らかな想像能力を打破すること
Dad Fatherという耳慣れた英語ではなく、欧米においての家族の普通の会話されるdad という父親の単語によってネイティブっぽく見せる文章
Granddad この言葉もGrandfatherでなくgranddadと出題されることによって教科書で勉強した中学3年生にはストレスのかかる語彙である
A going-away gift gift=贈り物というように出題されればわかりやすいのに、going-away という別れの言葉を出題することによって、解答者にストレスをかけること
たったの出だし4行にもかかわらず、Perer, eleven years old、 dad、 granddad という3代の登場人物が出題されることによって、登場人物の構成を複雑化すること
共通入試や自校入試においては、父親→息子 教師→生徒という具合にわかりやすい人間関係図が出題されています。
ちなみに現代文においての難関高の入試問題は、「継父、継母」等のような言葉が出題されることによって、登場人物の関係図が複雑化されます。
一つ一つの単語の意味は中1、中2レベルにも関わらず、それぞれの言葉でもって構成された瞬間、非常に起承転結が想像が出来にくい内容になっています。
筑駒の入試問題とは、まさに「生徒に精読をきっちり促し、単なるストーリー展開を想像能力だけでもって読み取るだけのあやふやな学力を除外すること」に、全力を尽くしているように見られます。